【デジタルネイチャー】落合陽一
機会と自然が渾然一体に融合する.
これはつまり,充分に発達した計算機群は,自然と全く見分けがつかないということだ.
この状態を落合陽一は,「デジタルネイチャー」と名付けた.それは彼のマニフェストであり,未来像とも言える.
デジタルネイチャーの世界観では,人間と機会,物質(material)と実質(virtual)の4象限で表される.ウィーナーのサイバネティックスの現代版とも換言できる.近い将来,この4象限に境目は無くなり,自由に越境できる空間が完成する.つまり,AI型人間,人間型AI、身体性のあるコンピュータ,精神性のあるAIなどだ.
近年は,GAFAと呼ばれる巨大プラットフォーム企業が私達を囲い込むように,搾取している.これらのプラットフォーム構築側と搾取される市民と溝はますます深まるだろう.
そのような状況に対抗しうる手段が,オープンソースという概念だ.オープンソースとは,非中央集権型の分散モデルであり,サイバー空間上にコードを公開することで,誰もが同一のコードを共用できるようになる.
このプラットフォームVSオープンソースの二重構造の社会では,既存の民主主義をアップデートした,全体最適化された全体主義を実装していく必要がある.
落合陽一は、思考の立脚点としてのアートとテクノロジーの横断を主張する.終着点は、生命と機械、物質と実質の境界を越えた世界だ.