ハタチの読書録

20歳大学生の日々の読書を綴る

「思考の整理学」外山滋比古

   東大で一番売れている本ということだ。中身を少し紹介してみる。

  人間には、グライダー能力と飛行能力があるらしい。受動的に知識を得るのが前者、自分で物事を発明、発見するのが後者である。両者は一人の人間の中に同居している。現代の学校はグライダー人間を育てる訓練所なのだ。

   我々は、花を見て、枝葉を見ない。仮に枝葉は見ても幹には目を向けない。まして根のことは考えようともしない。兎角花という結果のみに目を奪われて、根幹に思い及ばない。

   朝の頭は、夜の頭よりも楽観的で、仕事の効率もいい。朝の仕事が自然なのである。朝飯前の仕事こそ、本道を行くもので、夜、灯をつけてする仕事は自然に逆らっている。朝飯前という言葉の本来の意味は、どんなことでも、朝の食事をする前にすれば、さっさと片付く。朝の頭はそれだけ能率がいい。

   ブランチ=breakfast+lunch というのは朝食と昼食を併せれば、昼までは全て朝飯前なのだから、朝飯前という言葉は甚だ都合がよろしい。

 胃袋に何か入れた後すぐ、頭を使うのはよろしくない。消化のために血液がとられて、頭はぼーっとする。それが当たり前で、学校の生徒が、午後の授業で睡魔に襲われるのは健康な証拠である。

   このような実例に基づく教訓が本書ではたくさん学べる。この本で、頂門の一針となるワード、コロンブスの卵となるアイデアを発見するのも良いだろう。